可愛い子には旅させよ-鞭を惜しめば子供はだめになる-

2015/01/06 投稿

Spare the rod and spoil the child.

昨日につづき、『命令文』の並列。

前半は、『spare(~を惜しんで使わない、節約する)』が『動詞』、その『目的語』が『rod(棒、鞭)』なので、「鞭を惜しんで使うな」

後半が、『spoil(~を無駄にする、だめにする)』が『動詞』で、『目的語』が『child(子供)』なので、「子供をだめにしろ」

 

意味的には、『命令文, and~』の形ととって

「鞭を惜しめ、そうすれば子供がだめになる」

から「惜しんではいけない」という、表面上の言葉とは逆の意味を含んでいる『反語』と捉えると理解できると思います。

 

ただ、文法的には昨日と同じく、『命令文』2つを『and』で並べているだけですので

「鞭を惜しめ、そして子供をだめにしろ」

と口では言っているが

「鞭を惜しむな、そうして子供をだめにするな」

という反意を込めているのでしょう。

 

子を持つ親としては、この意味は重々承知です。

もちろん鞭とまではいきませんが、甘やかすつもりは毛頭ありません(対生徒でも??笑)。

ところが、体罰厳禁なこのご時世ですから、このことわざの意味も

「鞭は使うな、そうでないと(鞭を使うと)子供がだめになる(から)」

というニュアンスに変わってきているようです。

 

ちなみに、この意味を持つ日本語のことわざは「可愛い子には旅をさせよ」ですが

これも、もともと昔は旅は非常に(時には帰ってくることもできないくらい)大変なものだったわけですから

「可愛い子には(だからこそ)旅をさせよ(くらい厳しい経験をさせなさい)→甘やかしてはいけない」という感じ。

ところが、現在では旅も便利で楽しいものですから

「可愛い子には(なんだから)旅をさせよ(て、たくさんの経験をさせてあげよう)」

と、前向きなニュアンスに変わってきているようで、甘やかし厳禁の本来の意味は完全に薄れてしまったようです。